中小企業社員への労働基準法違反

中小企業社員への労働基準法違反

労働基準法を遵守することは、すべての企業の経営者にとって果たすべき責務であるのですが、経営の厳しい中小企業では、守りたくても守れない状況にある場合もあるのではないでしょうか。

 

もちろん、たとえ経営が困難であっても、使用者は従業員を雇用「契約」の元で勤務させている以上、最低限の法律は守らなくてはなりませんし、そのために労働基準監督署が存在しているのです。しかし、時には中小企業社員への労働基準法違反への猶予が設けられる場合があります。

 

たとえば、平成二十二年四月一日より改正労働基準法が施行されていますが、この時の主な変更は、限定時間外労働の労使にる削減努力義務、時間外労働60時間超の場合の割増率の増加(5割以上)、引き上がられた部分についての代替休暇制度の利用による支払義務が免除でしたが、これらは企業負担・コスト増に繋がるので、一定の範囲に属する中小企業は適用が3年間猶予とされました。

 

適用猶予となる中小企業

この時の猶予はすでに期限が過ぎているので、上記の改正についてもすでに守る義務が生じています。

 

このように、中小企業については、改正された労働基準法がすぐに適用されるわけでは必ずしもないのですが、指定された猶予期限はあくまでも準備期間と考えて対応策を考える必要があります。

 

ちなみに、このとき厚生労働省が定めた適用猶予となる「中小企業」の定義は、小売業では資本金か出資額が5000万円以下、従業員数は50人以下 、サービス業では資本金は同額で100人以下、卸売業は資本金1億に従業員100人以下、その他の業種は資本金3億円、従業員300以下となっています。

 

今後の労働基準法改正について

ブラック企業が社会問題化して久しい昨今、大企業は是正勧告を受けた段階で公表を受けるという事も決まったように、労働基準法の遵守に対する取り組みはますます厳しくなるでしょう。今後、労働基準法もまた改正が予定されていますが、次回も前回の改定のように中小企業への猶予があるとは限りません。

 

使用者は、労働基準法遵守についての意識を高め、労働者も中小企業だからとあきらめずに積極的に遵守を訴えていきましょう。

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