労働基準法違反によって逮捕されるケースはあるのか

労働基準法違反によって逮捕されるケースはあるのか

テレビや新聞の、何らかの事件に関するニュースで、「書類送検」「逮捕」の言葉を目にする事は多いですが、その二つの言葉の違いについてご存じでしょうか?

 

書類送検は、刑事手続において司法警察員が被疑者の身柄を拘束することなく事件を検察官に送致するすことを指します。そして、逮捕とは、被疑者の逃亡及び罪証隠滅を防止するため、捜査機関が被疑者の身柄を強制的に拘束する行為の事です。

 

二つとも犯罪者を起訴する為に必要な手続きであることは変わりなく、違いは身柄を拘束される、留置所か拘置所に勾留されるかどうかの違いです。労働基準法の違反では通常書類送検が行われるだけで済むケースがほとんどです。

 

滅多に行使されない逮捕権

逮捕は、被疑者の身柄を拘束するという、非常に責任の重い行為で、一般人がもし同様の行為を行えば逮捕・監禁罪として3月以上7年以下の懲役刑(刑法二百二十一条)となることからもその事が分かります。

 

労働基準監督官は司法警察権を持ち逮捕権の行使が可能なのですが、労働基準監督署には留置所が無く、警察に留置所を借りる必要が有るのですが、簡単には貸してくれないという事情があり滅多に逮捕権を行使しません。

 

2012年のニュースなのですが、静岡労働局と島田労働基準監督署が再三の出頭命令に応じなかった、最低賃金法違反と労働基準法違反の容疑者を「16年ぶり」に逮捕したとの事で、それだけ「逮捕」される事が稀であるという事を表しています。

 

逮捕されなくても犯罪には変わりはない

しかし、例え逮捕はされなくても、労働基準法違反は犯罪であり、書類送検を受ける事は刑罰を受ける前段階であることに代わりはありません。逮捕されないからといって、労働基準法違反を軽く見てはならないのです。

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