労働基準法と雇用契約書内容の違反
労働基準法において、雇用契約時に「雇用契約書」を作成することは、義務付けられてはいません。
しかし、労働基準法第15条第1項では、「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」とされていますので、結局は雇用契約書を作成した方が使用者側にも労働者側にもメリットがあります。
雇用契約書に明示して契約を交わすことで、使用者としては、労働者が労働条件を確認しているという明確な証拠になりますし、労働者としてもどのような条件で自分が働くことになるのかが分かります。
もし、採用される際に他の会社を選ぶ余裕があるならば、求人誌の内容や面接時の話と雇用契約書の内容が異なると雇用契約を断ることも可能でしょう。
ちなみに、厚生労働書のQ&Aによると、労働条件の明示とは労働者個々人に対して書面で明示される労働条件のことなので、求人誌やハローワークの求人票はあくまでも募集の際に提示する労働条件の目安なので、「労働条件の明示」には該当しないとされます。
労働契約書について
そもそも、労働契約書自体が労働基準法に違反している場合が有ります。
労働時間が一週40時間を超えていたり、割増賃金については一定期間で打ち切る、五年の有期契約でその後再雇用はしない、といった内容が契約書に書かれている場合、労働基準法の基準に達していない部分に関しては雇用契約は無効であり、労働基準法によって強制的に上書きされます。
ですから、使用者はまず労働基準の規定を超えない範囲で労働契約書を作成し、労働者はその事を確認しなければなりません。
労働契約書の内容に違反した場合
労働基準法に則った労働契約書が作成され、労働契約を結んだ場合においても、使用者側が労働者に労働契約書以上の労働を強いた場合は、使用者側の契約不履行となりますので、労働者としては労働契約に基づく労働環境の改善を求めることもできますし、労働基準監督署への相談・告発、最後には訴訟という手段を取ることができます。
その際、雇用契約書は有力な証拠になります。
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