労働基準法 定額残業制

定額残業について

時間外労働をした場合は、原則として法定通りまたは法定以上の割増率で計算した割増賃金を時間外労働した時間数分支払うことが必要です。

 

しかし、ある程度毎月の時間外労働時間数が決まっていて、毎月正確に計算することが面倒である場合は、あらかじめ毎月の給与にその時間外労働時間数分の割増賃金を載せて払うことが出来ます(定額残業制、といいます)。

 

これを採用するには就業規則に定額残業制を採用する旨の記載があり、本人との労働契約書の中にも記載があり、また割増賃金について明確な内訳がなされていることが必要です。

 

たとえば毎月10時間の時間外労働が見込まれている場合に、毎月25,000円を割増賃金見合いとして払うことを契約しているとします。

 

この場合、結果的に10時間の時間外労働がなく、5時間であっても、8時間であっても定額の25,000円を払うこととなり本人にとって有利です。

 

また、所定の10時間では間に合わず、15時間になったり、20時間になった場合はその足らない時間数分、5時間や10時間分の割増賃金を適正に計算して、支払う必要があります。

 

年俸制を採用している会社でもよくある間違いですが年俸制は残業代を払わなくてもいい、という勘違い同様、定額残業制を採用すれば、割増賃金の支払いを抑えることができるというよくある勘違いが多いです。

 

最近では、上記のように時間外労働の隠れ蓑に使われていることが多く、また、正しく規定されておらず、運用もされていないことが多いことから、労働基準監督署の調査の際もこの点は細かくチェックされています。当然のことながら適正に計算されていなければ、未払残業の対象となります。必ずしも計算業務軽減や割増賃金の圧縮には繋がっていないことを確認する必要があります。

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